沖縄を描く絵本作家Sava

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歴史文化

初回投稿日:2015.03.31
 最終更新日:2024.03.27

沖縄を描く絵本作家Sava

絵本

ポントンプンのほしあつめんものがたり うるま市の島々編

 

色鮮やかで力強く、そしてどこか優しさを感じる絵本。うるま市の島々に残る民話に、ファンタジーな要素を加え、子供たちにも伝わりやすいようにと描かれています。

 

この絵本を作っているのが、沖縄県在住の絵本作家Sava(さば)さんです。


 

千葉県出身のSavaさんは、大学進学をきっかけに沖縄へ移住したのだそう。大学で美術を勉強したのを期に、絵を描くことの楽しさに目覚め、「初めて絵本を描いた時に、これ、すごく楽しい!と思ったんです」とSavaさん。沖縄での暮らしのなかで、街の人々と触れ合い、人々の暮らしのなかに眠るストーリーを絵本や絵に描いてきました。

 

紙芝居 ちゅうやユッカヌ日より ハーリーを応援する大人たち

 

この絵は、沖縄の伝統行事を紙芝居にしたもの。旧暦の5月4日に開催されていた、ユッカヌヒー。大人たちは、ハーリーを行い、応援し、子供たちには年に一度この日に玩具を買い与えたのだそう。Savaさんは、当時の事を知るおばあさんに取材をして、戦前行われていたハーリーや、琉球玩具市、ひとつの玩具を大切にして遊んでいたことを、現代の子供たちに伝わるようにと願いをこめ描いたといいます。


紙芝居 サンちゃんのハマウリ 画像提供:Sava

 

 

同じく伝統行事を描いた紙芝居の“サンちゃんのハマウリ”では、現代の子供とおばぁちゃんとのやりとりの中で、旧暦3月3日に行われるハマウリという、女性を中心に足や手を海に浸けて身と心を清め祈願し、潮干狩りなども行う伝統行事についてを教えてくれます。


星ふる家

 

作品の題材をどのように選んでいるのかSavaさんが教えてくれました。

 

「沖縄を題材にしたものと、してないもの全てに共通しているのが、“当たり前のようにいちばん身近にあるもので、だけど、消えてしまいそうなもの。そこにある愛着”という感覚でしょうか。例えば、おばあちゃんがお味噌を作っていたとして、私が表現したいのは、[食べてくれる人のことを思いながら作っている]おばあちゃんの[愛]なんです。

 

題材にしているものはいわば当たり前のことなので、だからこそそのままにしておくと風化してしまったり、無くなってしまいそうな気がするんです。それを、あたかもフィクションっぽく、そしてファンタジーな遠い国のお話のように描いています。なぜ、そんなことを? と思うでしょ。私が感じているそんな素敵な物やひと、地域をたくさんの人に知って欲しくて、私なりの視点で絵本にして届けているんです」


えおん

 

絵本に音を付けた、“えおん”(絵と音)もsavaさんの表現のひとつ。音楽に合わせて、絵本を読むことで、立体感がうまれ、絵本の世界が広がります。作曲から演奏、録音までをひとりで行ったというSavaさん。その多才さには驚くばかり。実は高校生のころにギター部で音楽を学んだのだそうです。

 

沖縄市にあるこどもの国のワンダーミュージアムのBGMもSavaさんが手がけているので、遊びに行った際には、ぜひチェックしてみてくださいね♪


ポントンプンのほしあつめのものがたりコザ十字路壁画 画像提供:Sava

 

Savaさんの作品の「ポントンプンのほしあつめのものがたり」は、私のおすすめ。“ポンポト ポンポンポン”の愉快なリズムで始まるお話は、2人の妖精が沖縄に潜むきらりと輝く星(魅力)を、見つけ集めていく物語です。

 

また、ウェルカムボードやイラストデザインなどのセミオーダーもしているSavaさん。沖縄らしさを詰め込んだデザインのウェルカムボードをオーダーすれば、結婚式や、パーティーなどで注目を浴びそうですね。


おきなわんモビール 青い猫の生活

 

絵本の可能性を感じ、絵本の概念に囚われないのが、Savaさんのスタイルです。沖縄を題材にしたものから、そうでないものまで、Savaさんが生み出した作品には、“愛”が感じられました。絵を見るだけで、心がほっとして、ことばを読めば絵本の世界に入り込んでしまいますよ。

絵本作家Sava

HP /
https://www.chocogorillaoffice.com/

沖縄CLIP編集部

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