島の恵み、島の味 その32 かちゅー湯

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初回投稿日:2016.04.22
 最終更新日:2024.03.27

 島の恵み、島の味 その32 かちゅー湯

かつお節
 
 
意外と知られていないのですが、沖縄は実は鰹の名産地。
沖縄本島北部本部町(もとぶちょう)、宮古島や伊良部島(いらぶじま)をはじめ八重山(やえやま)諸島などで鰹漁が行われています。
 
一時は漁獲量日本一を記録するほどでしたが、近年後継者不足などの理由から量は少なくなっています。
 
でも、、、ある部分では沖縄の鰹における日本一は未だに健在。
それは「鰹節の年間消費量日本一」なのです!!
 
「ちゃんぷるー」など炒め物に使ったり、「沖縄そば」や「沖縄おでん」の出汁には鰹節を鷲掴みで豪快にジャンジャン入れます!
 
沖縄のスーパーに足を踏み入れると、鰹節コーナーの種類の豊富さにビックリ!!
一般家庭に馴染みのある小分けのパックよりも、大きな袋に入った鰹節がズラリと占拠。薄く削った花かつおから、厚削り、血合い抜きまであります。
 
沖縄のスーパーの鰹節コーナー
 
 
そして、一般家庭に古くから愛されている「鰹節」を使った沖縄の滋養食が「かちゅー湯」です。
 
「かちゅー湯」とは、かつお(かちゅー)と湯のことです。
基本はお椀に鰹節を入れて沸騰した湯を注ぐだけの簡単スープ。沖縄のインスタント料理とも言えますね。
 
でも、どうやら「ただのインスタントスープ」という意味合いではなさそうなのです。
 
鰹節には、ペプチドと呼ばれるアミノ酸が結合した物質が含まれ、疲労回復や集中力、思考力を高める効果を発揮します。
ビタミン、ミネラルも豊富で抗酸化作用が高く子どもの成長期や老化防止の効果が期待されています。
 
沖縄の家庭では、体調を崩した時や食欲のない時に飲むことの出来る贅沢なスープ。
今回は、ウチナンチュの皆さんからレシピを聞いてみました。
 
鰹節
小皿:山田義力
 
家庭によって鰹節は厚削り、花かつおなどを使います。基本の合わせは鰹と味噌です。

基本の合わせは鰹と味噌です。
小鉢左:新里僚子/ピンク椀:秋元ナナ
 
そして沸騰したお湯を注ぎます。
 
沸騰したお湯を注ぎます
ピンク椀、ティーポット:秋元ナナ
 
そしてここからは、家庭毎に変わって来ます。
 
那覇市出身のNさんは、

鰹節、味噌、梅干し、ねぎ
小皿(左):森永たつや/椀:山田義力
 
鰹節、味噌、梅干し。お母さんが牧志の市場にある乾物専門店「松本商店」に勤めていたので、割と子どもの頃はよく飲んでいたそうです。今でも月に一回は飲むとか。お好みでネギを加えても美味しそうですね。
 
養豚農場を営むKさん一家のレシピはちょっと豪華な一品。
基本の鰹節に湯を注ぎ、味噌を溶いて仕上げに生卵をのせます。
 

鰹節に湯を注ぎ、味噌を溶いて仕上げに生卵をのせます
椀:森永たつや/ランチョンマット:宮良千加
 
生卵トッピングは滋養強壮として効きそうですね。K家のお母さんの子どもの頃は、風邪の時にしか作ってもらえない贅沢な一品だったそうです。

生卵トッピング
椀:森永たつや/ランチョンマット:宮良千加
 
 
鰹をふんだんに使うことで、鰹の風味がスープにいきわたり、香り豊かな味わいの「かちゅー湯」。やわらかくなった鰹を食べながら飲むスタイルが主流のようで、みなさん、鰹節は全部食べるという方ばかりでした。
実際に食べてみると、結構ボリュームのあるスープになります。
 
宮古島出身の両親を持つショップの店長さんは、
鰹節に湯を注ぎ、味噌は使わず塩のみというシンプルなレシピ。産後の滋養にと、里帰りした時にお母さんがよく作ってくれたそうです。
 
北谷町(ちゃたんちょう)在住の二児の母Tさんは水から鰹節で出汁をとって、味噌を入れるスタイル。風邪の時とか食欲のない時にたくさん作って何杯も飲めるようにしているというアイデアを聞くことができました。
 
糸満出身のHさんは、トッピングにそうめんやもずくなどを入れるそうで、具沢山で楽し気なかちゅー湯でした。
 
 
そして、最後に驚きのかちゅー湯を紹介してくれたのは、20代若手デザイナーのKさん。
沖縄も現代化が進み食生活も多様化している流れを実感できる一品を紹介して下さいました。
 
 
うちなーのおみそ汁「かちゅー湯」
うちなーのおみそ汁「かちゅー湯」
 
ご本人はあまりかちゅー湯を飲まないそうですが、こんな商品があると紹介してくれました。
県内のスーパーやドラッグストアで販売されています。
 
簡単インスタントなレシピなかちゅー湯を、さらに商品化!
このツッコミどころが、ある意味「沖縄」らしいです。
エピソードも踏まえて、会社の同僚に差し上げてはいかがでしょう。
 
さて、色々なご家庭の「かちゅー湯」をご紹介しましたが、みなさんどのかちゅー湯がお好みですか?
聞いてみるとそれぞれの家が使う素材に違いがあるから面白いです。
味見をしながら「これがあの人のお母さんの味か〜」としみじみ。
ご家庭でも簡単に作れる沖縄のお母さんの味、是非作ってみて下さいね。
独自のアレンジしても楽しそうですよ!
 
「かちゅー湯」
箸置き:森永たつや/椀:山田義力/ランチョンマット:宮良千加

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